序章

深紅の夕焼けが絶えず空を覆い、金色に輝く川が流れる世界、それがイシリアだ。
太古の昔から存在し続けたこの地には、人々が語り継ぐ神秘の森が広がっている。

その森の名もまた、イシリア。

その名を冠したこの森は、古代の神々が住むと言われていた。

 

森にはアレンという少年がいた。

彼は黒髪に緑の瞳を持ち、その顔立ちは常に好奇心に満ち溢れていた。何事にも恐れず、新たな知識や経験に飢えている彼は、神々の存在に強く惹かれ、神話の世界への深い興味を抱いていた。

森の最も深い部分には、巨大なオベリスクが立っている。
青白く輝く月光がその表面に映し出され、遥か昔に刻まれた文字が蘇る。
文字たちは神々の言葉を綴り、選ばれし者へ向けたメッセージが込められていると言われていた。

 

「この文字は…」

 

好奇心旺盛なアレンがオベリスクに手を触れる。石面がひときわ明るく輝き出した。彼の手から溢れ出す光は、文字たちを活気づけ、神々の言葉が彼の心に響き渡る。

 

「運命の時が来た。選ばれし者よ、世界を照らす光となり、闇を払わん。新たな世界を創造し、平和をもたらす旅へと踏み出せ…」

 

その言葉とともに、新たな世界が視界に広がった。

空に浮かぶ二つの月、紫の雲、巨大な水晶が点在する草原、そして遥か遠くで低く唸りを上げるドラゴンの影。それが、新たな世界の風景だ。

アレンは息をのんだ。

 

「これは…一体何なんだ? 本当にこれが神々の世界なのか?それとも、ただの夢なのか?」

 

彼の声は驚きと共に震えていた。だがその中には、新たな世界に触れることによる困惑と興奮も混ざっていた。