第一章一節:旅立ち

アレンはその日も朝早くから起き出し、父親から受け継いだ小さな農場で仕事を始めた。

太陽が村を照らし始めると、アレンはすでに一日の仕事を半分以上終えていた。作物を水やりし、家畜たちに餌を与え、種をまく。それが彼の日課だった。

 

「アレン、朝からよく働くね。」

 

隣の農場のオーナーであるミカエルが声をかけてきた。彼はアレンの父の親友で、アレンが生まれたときから見てきた一人だ。

 

「それが生きていくためさ、ミカエル。」

 

アレンは笑って応えた。彼は若干17歳だが、農場を切り盛りするためには大人のように働かなければならなかった。

村での生活は厳しい。だが、それでもアレンは幸せを感じていた。
彼は自分がこの土地で生まれ育ったことを誇りに思っていたし、一日一日を大切に生きていた。それは、彼が人々との交流を通じて学んだことだった。

 

「村人たちは皆、助け合い、尊重し合い、共に生きていく。それが私たちの生き方だ。互いに助け合いながら、自分の生活を立派に切り盛りする。それが私たちの誇りだ。」

 

とアレンは独り言を言った。

彼の独白は、彼が過ごすこの村のシンプルながらも深い生活哲学を表していた。そして、その哲学は、アレンがこれからの冒険にどのように立ち向かっていくのかを予感させるものだった。

 

作業が一段落ついた後、アレンは汗だくの体を川で洗い流した。冷たい水が彼の疲れを癒してくれた。その後、彼は村の中心部へ向かった。

ここでは日々の仕事を終えた村人たちが集まり、一緒に過ごす時間を楽しんでいた。子供たちは駆け回り、大人たちは静かに話をしたり、手仕事をしたりしていた。

アレンは村の教師、エリナに声をかけられた。

 

「アレン、今日はあなたの番だよ。」

 

エリナは村の子供たちに読み書きを教えていた。そして、アレンはそれに加えて、子供たちに神話の話を教えていた。

彼は神々の話を熱心に学び、それを子供たちに伝えることで、彼らの想像力を刺激し、村の歴史と文化を守っていた。

 

「神々がこの世界を創り、我々が今日生きているのは、彼らのおかげだ。」

 

アレンは子供たちに向かって話し始めた。彼の声は静かだったが、その言葉は子供たちの心に強く響いた。

夜が更けてから、アレンは自分の家へと帰り、日記を書き始めた。彼は今日の出来事や自分の感情を紙に落とし、自分の生活を振り返った。

 

「明日もまた新しい一日だ。そして、明日こそ、あの森へ行ってみよう。神々の世界に足を踏み入れるのは、まだ怖いけれど…」

 

アレンはそう書き留め、日記を閉じた。

それがアレンの1日だった。しかし、彼がまだ知らないことは、明日が彼の人生を一変させる大冒険の始まりとなる、ということだ。