第二章三節:使命

太陽が低く沈み、オレンジ色に染まった空が暗闇へと変わっていく中、リリアとアレンは花園を後にした。
花々が再び生き生きと咲き誇る姿に、二人は満足そうな笑顔を見せていた。

リリアはアレンに向き直り、一瞬、何を話そうか考えてから口を開いた。
「アレン、あなたは本当のところどこから来たの?この町のことも、魔法のことも知らないなんて生まれたての赤子のようだわ。」

アレンは彼女の質問に少し驚いたが、彼女の眼差しから逃げることはせず、しっかりと目を合わせた。彼は深呼吸をしてから話し始めた。
「私は...違う世界から来たんだ。それは、こことはまったく異なる場所で、私の普通の生活があった。だけど、ある日、私は森の中にある石碑に触れて、気がついたらここにいたんだ。」

リリアの目が大きく見開かれ、驚きと興奮で輝いていた。
「それってつまり、君は異世界から来た人なのね?」

アレンは頷き、彼女の質問を肯定した。
「うん、その通りだ。ここは、私が生まれ育った世界とは全然違う。だけど、この世界に来た時からこの世界を守る使命が与えられた気がする。私はこの世界を守りたいと強く思っているんだ。」

リリアはしばらく黙ってアレンを見つめていた。
その瞳は深く、何かを見つめるような感じがした。そして、その表情は徐々に緩んでいき、やがて彼女は笑顔を見せた。
「それなら、私も君と一緒に旅をするわ!私もこの世界を守りたいし、それに、君の世界についてもっと知りたいの。」

そしてリリアは、アレンの仲間となった。
二人は共に旅をすることを誓い、新たな冒険が始まったのだった。
リリアの笑顔がアレンの心を暖かくし、彼はリリアに感謝の気持ちを伝えた。
そして、二人は未知なる旅路へと足を進めたのだった。


夜が更け、リリアとアレンは湖畔のキャンプファイアの周りで、アレンの旅の次なる目的地を決めていた。
リリアは手に取った魔法の杖を振り、そっと地面に浮かび上がる大陸の地図を描き出した。
その地図は一見するとただの幻影のようだが、細部まで精密に描かれていて、まるで本物の地図のようだった。

「ここがエイドラヴィール大陸、私たちのいる場所よ。」

リリアは杖で地図上の一点を指し示し、アレンに説明した。
「この大陸は5つの主要な国に分かれていて、それぞれが異なる種族や民族が住んでいるの。」

彼女は一つ一つの国を指し示しながら、その国の特徴や住んでいる民族について説明した。
エルフの森を治めるエルデン国、山岳地帯に築かれたドワーフの国ダザード、平原に広がる人間の国ラグナリア、水辺に住むメロウマン族の国オルニカ、そして最後に、不可解な魔法と技術で知られるゴブリンの国、グリズガルド。

「それぞれの国は、互いに協力しながらも、その国独自の法や文化、政治的な対立によって、しばしば対立することもあるわ。でも、これらすべての国々が一つになる大きな脅威が存在しているのよ。」

アレンはリリアの話に興味深く耳を傾け、それは何だろうと問う。
リリアは深いため息をつき、真剣な眼差しでアレンに語りかけた。
「それはドラゴン、アルドラゴン。かつてこの大陸を支配し、恐怖と混乱をもたらした存在よ。」

彼女の声は震えていた。
「そのアルドラゴンが、今、再びこの大陸に脅威をもたらしているの。あなたはきっとその阻止のためにこの世界にきたのよ、アレン。」

アレンは驚きと共に、リリアの真剣な眼差しを受け入れ、彼女の言葉に深く頷いた。
彼はこの新たなる世界、エイドラヴィール大陸での新たな冒険の重みを強く感じた。